ISBN:978-4272350452 日本のポストフェミニズム :「女子力」とネオリベラリズム
本節ではポストフェミニズム post feminism論を紹介する。「Postfeminism(ポストフェミニズム)」という語自体は1980年代のアメリカですでに使われている。たとえばスーザン・ファルーディ(1994) は1980年代のアメリカの状況として次のように書いている。 フェミニズムは女性の集合体としての社会的地位の向上を目指したが、ポストフェミニズムにおいてはあくまで個人的な成功に価値がおかれる。そして女性の成功を称揚する際に用いられるのが、「女性を弱者としてひとからげにすることで女性のエンパワメントを阻害する」というフェミニズムに対する否定的なイメージである。そのような「犠牲者フェミニズム(victim feminism)」のイメージを否定することによって、女性の成功や成功を求める野心は正当化される。
以上の視点から、本論ではポストフェミニズムを「フェミニズムを終わったものとして認識させ、フェミニズム的な価値観を周縁化し、それによってジェンダーとセクシュアリティの秩序を再編する社会状況」と定義した。
最後に触れておきたいのが、第3波フェミニズムについてである。第3波フェミニズムについては英米でこれまで多くの著作が出されており、内容は多岐にわたっている。統一的見解をまとめうるようなものではないが、最低限共通するのは、第2波フェミニズムへの批判と継承の危うい距離感である。全否定でも全肯定でもなく、第2波フェミニズムを評価しつつ、その上で違うものをフェミニズムとして見出そうとしている。
結局何